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プロ棋士 加藤千笑先生のこと

こんにちは。かめーご 代表 吉田です。

3月8日にかめーご イベントを開きます。『亀囲碁in浄顕寺with亀崎郷土食ランチ』。プロ棋士の加藤千笑先生に来ていただくことになりました。2018年4月にプロ入りした18歳(2020年1月現在)。プロ1年目は、新人で最多の勝ち星をあげられました。囲碁界のホープ。

千笑先生は生まれつきの障害があり、日常的には車椅子で暮らしていらっしゃいます。小学6年の時に、文科省主宰・少年少女囲碁大会・小学校の部で優勝。この大会は、囲碁における「甲子園」のような晴れ舞台。小学校の部の優勝者は、後々高確率でプロ棋士になっています。登竜門ですね。女子の優勝は珍しく、千笑先生は史上4人目の快挙でした。千笑先生も含め、過去の女子優勝者は全員プロ棋士になっています。プロ棋士になった時は、8度目の挑戦、11勝・全勝優勝でプロ入りされました。

私は、加藤千笑先生(千笑ちゃん先生)がまだ小学生だった頃、時々、ご両親と顔を合わせる機会がありました。子どもの付き添いで、待ち時間がふんだんにあったので、たくさんおしゃべりしてました。はじめてお見かけした時のこと、鮮明に覚えています。今の千笑ちゃん先生は、18歳。若さ弾ける、明るくて、笑顔が優しい、素敵な女の子です。だけど、はじめてお見かけした時は、全く印象が違いました。鮮烈でした。ものすごく暗くて。当時、小学4年生。中途半端な薄暗さではなく、重厚で、濃厚な、真っ暗闇な暗さ。ご両親がオロオロしながら、懸命に支えて、励まして、見守っている感じもひしひしと伝わってきて、すごくいいご家族だなあ、と好感を抱きました。親が先導するのではない、半歩引いた後方支援体勢。共に泥も火の粉もかぶってくれる、心温かいご両親に見守られて、小さな女の子が、巨大な闇を真正面からしっかり見据えて立ち向かっている感じがしたんです。逃げてない。前向きな暗さ。

ご両親ともに、囲碁とは無縁。スポーツがお好きだそうです。パパは野球、ママはバレーボール。だけど、千笑ちゃんは走ることができない。それでも最初は、おもちゃの野球セットで、パパがボールを投げて千笑ちゃんが打つ、千笑ちゃんが投げてパパが打つ・・っていうのを延々やって遊んだりしていたそうです。子煩悩な優しいパパが、ご自身が大好きなこと、得意なことで、小さな我が子と遊ぶ、触れ合う。。健常であれば、そこから外遊びに発展したでしょう。キャッチボールとか。だけど、千笑ちゃんは、外遊びができません。じきに、パパも千笑ちゃんも飽きてしまいました。そこで、今度は色んなボードゲームの入ったおもちゃセットで遊んでみたりしたそうです。その中にオセロがあって、じきに千笑ちゃんがパパを負かしたそうです。もしかしたら、そんなところから、良い芽を見出されたのかもしれませんね。幼稚園の頃に、囲碁の本を借りてきて、パパと二人でやろうとしたけど、その時はあまりうまくいかず、小学2年の頃、岐阜の公共施設の囲碁クラブに行くようになり、席主のおじいさんに手ほどきを受けました。千笑ちゃんが打てるようになってきて、名古屋の囲碁大会に出て帰ってくると、どんな碁を打ったか、石を並べて見せてくれ、と言われたそうです。高齢のために名古屋に行けなかったので、そんなお願いをされていたそうですが、結果的に、千笑ちゃんにとって、とても良い勉強になったことでしょう。千笑ちゃんは、おじいさんに自分の打った碁を見せたくて、頑張って覚えるようになったそうです。おじいさんがお亡くなりになると、岐阜では囲碁を習える場を見つけられず、名古屋に毎週末出てこられるようになりました。

プロ棋士の先生方には、囲碁を覚えて半年で初段になった、というような抜きん出た才能を示すエピソードが多いですが、プロになる前の千笑ちゃんは、そういう風ではありませんでした。ご両親ともに囲碁とは無縁なので、千笑ちゃんの棋力がわからず、岐阜で5級くらいかな、と言われて名古屋に出てきて、認定大会に5級で出てみたら落ちて、再チャレンジして・・とか。初段も何度か落ちてチャレンジして・・とか。日本棋院の認定大会は、4戦して3勝すれば認定していただけますが、その場合は、認定料がかかります。4勝全勝した場合は、無料。千笑ちゃんは、5級からずっと全勝でなければ上がらない、というマイルールを守ったので、なかなか上がれない時もあったそうです。

囲碁で負けると、対局者の前では決して泣かないけど、後で、ママの前で、ものすごく暗くなっている様子をしばしば見かけました。身も世もない、激しい落ち込みよう。そういう時、パパの方はオロオロと遠巻きに。女性の強さ(勁さ、というのですかね。根源的な芯の強さ、賢さ、優しさ)と男性の強さって、性質が違いますからね。

親が子を授かり、育てる時、誰しも願うと思います。子どもが元気に生きていけるように、自立して暮らしていけるように、笑って生きていけるように。

かめーご では、3月8日『亀囲碁in浄顕寺with亀崎郷土食ランチ』のイベントの折に、本堂の片隅で、千笑ちゃんパパを囲んで子育て座談会を開きます。進行には、私(中1男子子育て中)と住職・秦さん(幼児2名子育て中)が入ります。

住職の秦さんも囲碁はできないし、私も囲碁は・・囲碁クラブを立ち上げて運営しているのですが、何と、囲碁は打てません。目下勉強中。

それでも、感ずるところ、親として、人として学ぶところが多いね〜と、秦さんと私、話しております。そういうところを、皆様と共有したいです。

棋聖戦棋譜解説、解説碁(千笑ちゃん先生vsかめーご 指導者・上原昭雄先生。解説・金賢貞先生、聞き手・磯貝麗さん)、自由対局、入門指導、指導碁、と本堂の中で囲碁の場がありますので、そちらと座談会と行ったり来たりされてもいいし、がっつり打ちたい・囲碁に浸りたい方は、どうぞ、そちらで楽しんでください。場の状況を見て、2時ごろから適宜始めようかな、と思っています。

ざっくばらんにおしゃべりできる場を、と考えております。よかったら、お気軽にご参加ください。

⭐️コロナ禍で、イベントは実施できませんでした。

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