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一乗寺(京都市左京区)にかつて存在した、ナタラージャの話③〜ナタラージャの最後

たまたま偶然なのですが、ふと思い出して、ナタラージャに行こうとしたのです。もう、何年も何年も行ったことなくて、ほとんど忘れかけていたのに、急に、行こうと思い立ち、新幹線に乗ったのでした。あの日。

叡山電車の一乗寺駅で降りて、すぐの道を右に入って。。

そしたら、なんと、ナタラージャはちょうど打ち壊しの最中でした。あの、ママさんパパさんが凝りまくって作り上げた素晴らしい洞窟が、ガンガン壊されていました。パパさんが、「インドからかついで持ってきたんよ」と言っていた、あのトイレも。ラフな感じで微妙に凸凹歪に塗られた、あの壁も。ああいう壁は、今では珍しくありませんが、当時は、あんなの、ありませんでした。左官屋さんが最初は全く意図を理解できず、説明しても、職人魂に反するので、抵抗感満載で非常に難航したそうです。ピシーッと真っ直ぐに、つるりと滑らかに、寸分の狂いもなく直角に、というのが、左官屋さんのプライドだから。何度も何度も説明して、こんな風なんだ、と説明して、やっと絶妙な歪み、曲がり、を実現したんだ、とパパさんが昔話してくれました。厨房の出窓みたいな穴ボコも、真っ直ぐじゃなくて素敵でした。そういうの、全部、ガンガン打ち壊されて、もうもうと煙っていました。

すごくびっくりした‼️ショックだった‼️だけど、同時に、腑に落ちるところもありました。

なんの事情か、どういう成り行きか、全然わかりませんが、ナタラージャは閉店したんだな、と。そして、ナタラージャが閉じた後、あの洞窟に、別のインド料理屋さんか何かがテナントで入るっていうのは、ママさんパパさんはお嫌だったに違いない。私も嫌だ。

だって、ナタラージャはあんなにも素敵な、独特な場所だったから。

いっそ完全に消滅することで、かえって、ナタラージャは『永遠』になったのかもしれない。そういうの、とってもナタラージャっぽい、と思いました。

ナタラージャに出会ったばかりの頃、たまたま、京都の北山通りを歩いているママさんパパさんを見かけました。時代はバブル。北山通りは、京都市内では異色なエリア。新たに開発されたオシャレでバブリーな。ちょっと東京っぽい。よりによって、そんな所に、わざわざ出かけて行って、インドの田舎から抜け出してきたような風体で、ポケットに手を突っ込んで、肩をいからせて歩いていらっしゃいました。敢えて、柄の悪い、挑戦的な感じで。内心ビビっているのが透けて見えるような、柔らかい心で。

ガンガン打ち壊している工事の最中、ふと思い出したのは、あの日のお二人の姿でした。

ナタラージャは、踊るシバ神。シバ神はヒンズー教の三大神のひとりで、戦う神様。破壊と創造の神です。

ナタラージャは、その名にふさわしく、華々しく闘い、舞い踊り、最後には自らを破壊し、あとかたもなく消えた。

だからこそ、今もなお、そして、これからも、多くの人の中に、生き続けることでしょう。

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