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囲碁の風景4〜普及指導員のK先生のこと

子どもの囲碁の場で、子ども同士が打っている間、保護者は暇です。少し、嗜んでみましょう、と思いました。実際には、そんな風に動いた保護者は激レアで、少々勇気がいりました。囲碁はマンツーマンのもので、初心者指導は手間がかかります。我が子の面倒を見てもらっている時に、ついでに私も、と言える場合と言えない場合がある。保護者の気持ちは、あくまでも我が子の成長なので、それを妨げない形の隅っこ・片手間で、少々齧る程度の囲碁なんて、ほんとにやりたい?と思うところもあります。でもまあ、その時の私は、滅多ない機会だから、ちょっとだけでも齧ってみようと思ったんですね。子どもと一緒に棋譜解説を聞いてみたり、隅の碁盤で、見よう見まねで、棋譜を並べてみたり、問題をやろうとしてみたり。(全くわからなかった!)そしたら、普及指導員のK先生が、時々打ってくださるようになりました。

正直、何が何やらわからない。囲碁って何をするものなのか。碁盤を前にすると、自分の足元も見えない、濃い霧の中を、一歩づつ歩くような心細い気分になりました。陣地取りのゲームだということは知識として知っているけど、それでとらえられるものでもなく。

どうも、さっぱり腑に落ちない。一体何をやってるんでしょう?何をやろうとするものなのでしょう?

私がもやもやしているのが分かったのでしょうね。ある時、指導碁の途中で、こんなお話をされました。

「吉田さんて、音楽が好きでしょう?絵を見たり、本を読んだり、舞台を見たりするのもお好きですよね。囲碁ってね、そういうことと同じ側面もあるんですよ」

へえ、そうなんだ!と思いました。

とても印象に残っています。

のちに本を読んでいて、こんな一文と出会いました。あらためてK先生のことを思い出しました。

K先生は、その頃、断捨離、断捨離、と言われていて、私に、どっさりの囲碁の本をくださいました。軽めの囲碁エッセーとか、名勝負の棋譜解説とか。なんで私なんかに?と驚きました。

絵画展のチケットをペアで差し上げたら、微妙なリアクションだったので、ちょっと珍しいお菓子を差し上げると、すごく嬉しそうに(誰にも分けてやらないぞ!という決意に満ちて)さっさとしまわれる感じが正直すぎて笑えました。星を観るのがお好きで、プラネタリウムの話をされたり。生き生きと、知的好奇心を満たし、美しいものに感動され、どこか子どものように純粋な感覚をお持ちでした。

その後、かめーご を立ち上げた後の夏、K先生がお亡くなりになったと人伝に聞きました。

囲碁の場に出てこられるはずのK先生が姿を見せないので、不審に思った方がお家を訪ねてみたら、倒れてらっしゃった、と。

子どもが好きで、お菓子やジュースをガサッと買ってきてくださるのも、いつもK先生でした。バンダナしたり、キャップ被ったり。ヤンチャでワイルド、無頼の風貌が印象に残っています。

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