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囲碁の風景5〜愛知県半田市にあった碁会所のお茶と換気とお手洗い『換気』

今どきタバコの煙がモクモクしている場所は少なくなりました。愛煙家には受難の時代かもしれません。ここ二、三十年で、状況は激変しましたから。

JRの前の国鉄の時代、各車両のボックス席ごとに灰皿が付いていました。それが標準装備だったのです。今となっては、夢のようですが。

碁会所は、そんな時代の移り変わりと連動した場所。在りし日の姿が色濃く感じられる場でした。残像というか、残り香というか。

始めて行った頃は、まだ、あちこちの席に灰皿がありました。世間一般の流れに遅れて、分煙から室内禁煙に切り替わる過渡期でした。

常に満員の碁会所で、皆が居心地良く居られる場をつくるのは非常に難しいことですが、席主は、細やかな配慮で、うまく場を整えていました。

お茶を出す時にも、人によって飴を添えたり、添えなかったり。飴一つだったり二つだったり。この人にはコーヒー飴、この人には別の飴。その人が甘いもの好きだから、コーヒー飴好きだから、というばかりではなく、煙草を控えるべき人だからだったり、控えてほしい人だからだったり。様々な意味合いを含んでいました。

夫にタバコを売らないでください、と碁会所に来られる方の奥様が一人で、席主に頼みに来たこともありました。ドクターストップかかっているのに、おじいさんがちっとも言うこと聞かない。家ではタバコを取り上げることができても、碁会所で買って吸ってるんじゃ意味がない、というわけです。奥様の気持ちと事情はわかるけど、席主は困っただろうな。

煙草嫌いな人が、煙草を離せない人に怒鳴って怒った場面もありました。びっくりしました。

私自身は、心は愛煙家。煙草を吸いながら、くつろいでる人を眺めるのも好き。実際には、喫煙習慣はありません。煙草が身体に合わないのですねえ。たまに思い出して、新たな銘柄にトライしては挫折。吸うと具合が悪くなります。紙巻きのタバコはダメみたいなので、葉巻を試したり、最近は松葉タバコを自作して吸っています。肺の弱い母が、吸うと具合がいいと言うので母にも作ってやり、二人で吸っています。

煙草嫌いな人の事情や気持ちもわかる。愛煙家に心寄せるところもある。今は、愛煙家の分が悪い時代だから、ちょっとやられ過ぎなんじゃないかしら、可哀想、と思ったり。あんまり正しいことばかり言うなよ、と思ったり。

だから、煙草嫌いなAさんが愛煙家Bさんを怒鳴りつけた場面に遭遇した時は、ゔっと思いながら、愛煙家Bさんを庇う気持ちが強かった。Bさんは怒鳴りつけられても一言も言い返さないで、ただただ、言われっぱなし。ジッとうつむいて。

なんか、可哀想。

ところが、周りは誰もBさんを庇わない。責めるわけじゃないけど、なんだか微妙な間でした。

理由はじきに分かりました。Bさんは性懲りない人で、怒られた時だけはしおらしいけど、すぐに忘れちゃう。ケロリと。怒鳴りつけてきた相手を憎んだり恨んだりもしない。気持ちの優しい、朗らかなお人柄なので、憎めない。憎めないけど、いくらなんでも、いい加減にしろよ、と思う。思うけど、そうやって、何度も何度も、何度も何度も、同じ事が繰り返されるのでした。

なるほど、深いな。

Bさんを怒鳴りつけた、煙草嫌いなAさんの方が可哀想に思えてくるほどの『ケロリ』なのでした。

さて、

『親が子どもに囲碁をやらせたくて、子ども自身はやる気がないケース疑惑』は根強かったですが、誤解は解けていきました。こういうのは、いくら私が正直に話しても、『親が言うことだから』バイヤスがかかって、伝わりません。40年(碁会所)やってるけど、Sちゃんみたいな子は初めて」と不思議がられました。家族は誰も囲碁を打たないのに、子ども自身は囲碁をやりたくて、厳しくても辞めず、なかなか勝てるようにはならないのに、くじけない。『なかなか勝てるようにはならないのに』というのがミソ。

ともあれ、子どもが場に馴染んで、皆さまにも受け入れていただけるようになるにつれ、私は、見守りを減らす方向性にシフト中でした。もうお一人、遠くからお子さま方を通わせているお母さまは、いつも良い姿勢で、何をするでもなく、少し離れた席から、静かに、お子さま方を見守っていらっしゃいます。こういうタイプの『よく出来る』お母さまの姿はバイオリン教室で見慣れています。すごいなぁ、と常々思うけど、私はこういう風にはやれません。うちの子が場を乱してご迷惑をかけてはならないから、完全に離れることはできないが、私は徐々に子どもから離れて、身をひいていく方がいい、と思っていました。ママが子どもをリモートコントロールしたり、保護膜張るのではなく、子ども自身が自分の『顔』で『出会ったり』『感じたり』『渡っていく』ように、と願い。

子どもに少し良い自転車を買い与えました。少し遠いけど、子ども一人で行かせて、私自身は子どものいない時間帯に碁会所に行きました。多少でも囲碁を習いつつ、様子を分かりつつ、何か子どもに粗相があれば、小さな芽のうちに言っていただけるように、と考えたのですね。子どもには、一人で自転車を漕いで、学区外の碁会所に出かけることは、ワクワクする刺激的な冒険で、道草しながら、楽しかったようです。ハラハラ、びっくりすることも多々ありましたが。

この碁会所、喫煙者がいるのに、意外と空気が悪くない。それが不思議でした。ぎゅーぎゅー詰めに繁盛している碁会所なのに、どうして、モクモクしないんだろう。さらに、観察していて、気付きました。碁会所は、南北に吹き抜けるように窓があり、入り口は南にありました。人の出入りが多いから、入り口は開閉頻度がまあまあ高い。窓はオールシーズン大方いつも閉まっているけど、ピッチリ閉めてることは滅多になくて、ほんの少しづつ、開けている。さらに、古い扇風機が通常4台、たまにプラスもう一台、部屋の壁沿いに置かれていて、風が直接、人に当たらないような、わざとはずした変な角度で、最弱の風流で、ゆる〜く回っています。時々、席主が神妙な顔つきで、扇風機の角度や置き位置を微妙に変えていました。

席主が、絶妙な匙加減で室内の空気を循環させて、上手に換気していたのでした。

この記事を書いた人
かめーご

おしゃべりしたい❣️小さな愛を隠し持ちながら。全力で喋り抜きたい❣️

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